講演レジュメ

ネット時代の教育研究環境と図書館の活用

岐阜経済大学経営学部
助教授  松島 桂樹


1. 情報技術の発展と大学の展望

 大学は大きく変わりつつあるといわれて久しい。それは単に制度の改革だけではなく、教育・研究の現場における改革が求められている。従来の象牙の塔にありがちな知識の一方向的な提供から、学生の多様なニーズに適合した知識へと双方向的にナビゲイトする支援のしくみが必要になるだろう。
 情報技術が専門化による集中的な制御による運用から、情報ネットワークを介した利用者中心へと大きく発展したことによって、大学と学生との新たな関係の構築を協力に支援する可能性をもっている。すなわち、ネットワークを用いて求める知識へとナビゲートする。

2. 授業支援システム

 授業の改善は魅力ある大学づくりに不可欠なテーマであり、その中心は教員と学生との間のコミュニケーションの向上にあると考えられる。インターネット、電子メールなどの電子的コミュニケーションの体験を通じて、コンテンツの受発信を学ぶことで新しい情報技術と情報を活用することの価値の理解と創造性の発揮のため、コミュニケーションを重視した双方向の参加型授業を支援するシステムを開発した。
 このシステムは40人程度の実習授業を中心とし、200人程度の教室での講義形式の授業および演習でも活用できるようにした。そのなかで @お知らせ(掲示板型情報発信)A授業概要(情報共有型情報交換)B情報交換の広場(フォーラム型双方向コミュニケーション)C出席登録POS(情報収集型)を作成し授業タイプごとに活用した。
 このシステムは教室、実習・演習室、自習室すべてのパソコン、ワークステーションに設置されているWebブラウザーを用いて参加できるというオープン性、教員と学生との相互の意見交換の効率化、Webを通じての学生からの課題の受領と提出履歴管理、出席登録POSによる自動出席管理とコメント欄による学生の理解度の効果的な把握と授業への迅速な反映に大きな特徴がある。
 このようなシステムの効果的な開発と運用においては、電算部門職員と科目担当教員との共同作業が不可欠であろう。最近の情報技術ではコンテンツ制作の負荷はシラバスをワープロで作成するのとほぼ変わりなく、むしろ、どのように効果的な授業をおこなうかについて、職員と教員間での綿密な打ち合わせが重要である。
 当システムの導入によって、学生とのコミュニケーションの量と質は格段に向上した。とりわけ授業中に教員と会話しないのが普通と考えがちだが、学生との電子的なコミュニケーションの増大によって、実際にはフェース・ツー・フェースのコミュニケーションの増加につながっていると感じている。

3. 研究ネットワークの活用

 最近の研究は、個人が部屋に閉じこもって行うというスタイルから、学内および学外の研究者との共同研究による創発性を重視する手法が一般的になっている。当研究室においても、大垣地域福祉情報ネットワーク研究会というコンソーシアムを主宰し、地域の企業との共同研究をはじめた。ここでは、電子メールおよびグループウェアによる情報交換をベースとしている。さらに当研究室では、メーリングリスト形式によるインターネット大学によって議論の題材をメール発信し、よりオープンな議論と勉強の場として実験している。このような研究ネットワークが新しいかつ開かれた大学への展望を示してくれるであろう。

4. 図書館への期待

 教育と研究の環境や手法が変わるということは、知識の意味づけが変わることに等しい。 一大学の知識を横並びに保持するよりは、大学後との特徴を生かした個性的な知識の分散的な所蔵と閲覧の仕組みが、新しい大学にふさわしいであろう。この考え方は、近年、バーチャルライブラリーとして提起されつつある。このシステムによって、どんなときにも、どんな場所からでも必要な知識や情報を提供できるようになるであろう。しかし、学生や研究者が大量の情報から、容易に必要な情報を引き出すしくみはまだこれからである。図書、雑誌の論文、さらに多様なマルティメディア情報まで、効果的にナビゲートする役割こそ、これからの図書館に期待するのである。