高木家文書にまつわる読み物です。
第2期の修理事業として「蒼海記」の修理に2024年から着手しました。「蒼海記」は「宝暦治水」と称される、宝暦4~5(1754~55)年に幕府が薩摩藩に命じて実施した手伝普請(治水工事)の全貌に迫りうる 記録として戦前から注目されてきた資料です。『岐阜県史 史料編 近世五』(1969年1月)と『海津町史 史料編一』(1969年4月)に全文が翻刻されて容易に読むことができますが、原本は虫損がひどく、展示会への出品依頼があっても十分に応えることができない状態でした。このため、2024 年度から3年かけて全14冊を修復することになりました。
1年目は一~三までの3冊の修理を終えることができました。この過程で剥離していた断片も本来 の位置に戻すことができました。古文書などでは文字を書き間違えたとき、その上に紙を貼り正し い文字を書くことがあります。ところが、正しい文字を書いた紙が剥がれてしまい、帳の中に挟まってしまっているときがあります。
「蒼海記」も三巻の9・10丁間に剥離した断片が挟まっていました(図1)。虫喰跡が大きいですが「福原村」と書かれているようです(図2)。今回の修理であらためて調べたところ、この断片は 12丁の6行目に貼られていたことが確認できました。
「来月五日廻状江不残寄合候様廻状を以申遣候」(図3)と書いた後で、
「来月五日福原村江不残寄合候様廻状を以申遣候」(図4)と修正していたのです。小さな断片も軽視することなく本来の位置に修理したことで、文意も通じるようになりました。
2020年11⽉〜12⽉に名古屋⼤学附属図書館特定基⾦等ワーキンググループが実施したクラウドファンディング「【第2弾】名古屋⼤学の使命!重要⽂化財の絵図を守り継ぐ」の新着情報記事として、2020年11⽉から2022年10⽉の2年間にわたり10回連載した記事をもとに、加筆修正して作成した32頁の小冊子です。 (pdfファイルにて公開中)
第1回 整理担当者が語る、「高木家文書」の魅力とは?高木家文書にまつわる記録となる、過去のお知らせです。
| 2025年02月10日 |
住友財団ニュース第22号(2025年1月)p.3に、関連記事「修復文化財の展示(2)2.修復文化財の所有者による展示公開イベントへの参加」掲載。高木家文書の修理事業は、住友財団文化財維持・修復助成を受けています。
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| 2024年08月19日 |
10/19(土)に第20回名古屋大学ホームカミングデイ附属図書館企画
「文化財をまもり、つたえる」を開催。 高木家文書に関する特別講演会、重要文化財特別展示、解説動画上映を行います。 |
| 2024年06月24日 |
高木家文書デジタルライブラリーは、東海国立大学機構学術デジタルアーカイブ上に移転し公開しました。 |
| 2023年02月14日 |
「高木家文書のうらばなし」を公開しました。「高木家文書」にまつわる身近な話題をご紹介しています。 |