2021年11月、旗本東高木家に伝来した治水関係文書約8000点を、故森川勝之助氏より、名古屋大学附属図書館にご寄贈いただきました。
旗本高木家は西家・東家・北家と通称される三家からなり、名古屋大学附属図書館は西高木家に伝来した文書群を所蔵し、一部が国の重要文化財に指定されています。 これに対して今回寄贈された文書群は、東高木家に伝来し、戦前に森川家が譲り受けたものです。 研究資料として広く社会に役立てることを願う森川氏のご遺志により、受贈の運びとなりました。 宝暦治水の「三之手水行定式急破御普請出来形絵図」や近世後期の「取払絵図」など、 西高木家文書にはみられない大型彩色絵図が豊富に含まれている点に特長があります。
名古屋大学附属図書館研究開発室では以前から悉皆調査に着手し、 その成果の一部を2004年秋季特別展「川とともに生きてきたIII-東高木家文書にみる木曽三川流域の歴史・環境・技術-」 2004年秋季特別展で紹介しました(図録公開中です)。
また、先行して貴重な河川絵図248件余を高木家文書デジタルライブラリーで公開しています。
現在、公開に向けて目録作成と資料のデジタル化に取り組んでおります。閲覧についてはしばらくお待ちください。
宝暦5(1755)年5月 149.3×183.0
宝暦治水の4工区のうち、東高木家が担当した「三之手」の竣工図。 絵図中に桃色で強調された部分が定式・急破普請(一期工事)、 大榑川洗堰など赤色の部分が水行普請(二期工事)である。 絵図左右の貼紙部分には、絵図中の記号と対応する形で、 それぞれの施工箇所と施工内容が詳細に記され、この工事の規模と目的を知ることができる。