保存の基準

シェアードプリントプログラムは、加盟館がプログラムのために保存するよう求められるタイトルの基準を策定します。この基準は、加盟館の冊子体コレクションを注意深く分析して作成されることが最も一般的です。このセクションでは、シェアードプリントプログラムで使用されている一般的な基準をいくつか説明し、保存モデルの例のリンクを提供します。

加盟館のニーズとプログラムの保存に対する考え方は保存の選択に影響を与えますが、一般的には次の5つの目標があります:

  1. 対象範囲内のすべてのタイトルについて、グループ内に少なくとも1冊がセーフティネットとして保存され、最後の1冊がグループから除籍されないようにします。
  2. 対象範囲内のタイトルのうち、グループ内で1冊しかないものはすべて保存することで、ユニークなコンテンツが共同コレクションから不用意に失われないようにします。
  3. 地域や国内で所蔵の少ないタイトルはすべて保存することで、より広範な図書館コレクションの世界を考慮し、将来の利用のためにこれらが確実に守られるようにします。
  4. 頻繁に利用される資料は保存冊数を増やすことで、将来想定される需要を満たすのに十分な部数を確保します。利用傾向の変化を考慮するため、いくつかのプログラムでは基準として最終貸出日を含めています。
  5. 所蔵館の多い雑誌については、最も欠号の少ない図書館に保存責任を割り当てるべきであり、その他の図書館には欠号補充の機会を与えるものとします。

注:プログラムによって「所蔵館が少ない」や「よく利用される」の定義は大きく異なります(保存基準の例については以下を参照してください)。

一部のプログラムでは、以下のような保存基準も採用することにしています:

保存モデルは、シェアードプリントプログラムに新しいメンバーが加わるにつれて、時間の経過とともに変更していくことが可能です。例えばEASTは、新しい加盟館と協力して、本来の保存モデルによれば現在よりも多くの冊数を保存すべきであるタイトルの「補充」に取り組んできました。そしてEASTは新しい加盟館にこれらの不足しているタイトルを「補充」するよう要求します。またMSCCでは、新しく加盟館となった公共図書館からのフィードバックに応え、資料の保存基準となる貸出回数のしきい値を引き上げるよう、調整しました。

すべてのプログラムにおいて正式な保存基準が必要なわけではありません。例えば、ReCAPプログラムでは、各加盟館はプログラムに拠出するコンテンツを選択し、保存施設に送りますが、共有コレクションとして追加された資料はすべてのReCAP加盟館が借りることができるようになるため、他の加盟館やその利用者が簡単に見つけられるようにしておく必要があります。また加盟館は、ReCAPが存在する限り資料を保存しなければなりません。しかし資料形態や主題に制限はありません。またHathiTrustシェアードプリントプログラムのフェーズ1では、加盟館はHathiTrustデジタルライブラリに収録されているタイトルの冊子体リストを提供し、プログラムを代表して保存するタイトルについて自発的なコミットメントを行うよう求められました。

保存モデルの例

保存モデルは多くの場合、何冊保存するかを指定することに注意してください。この決定は、最適な複本冊数のリスクモデルに影響を受ける可能性があります。

保存責任の割り当て

どのタイトルを保存するかについて合意したら、次にプログラムは、グループ全体で保存責任をどのように配分するかについて合意する必要があります。一般的にプログラムは、すべての加盟館が冊子体学術記録の保全に等しく貢献していると見られるよう、各館の蔵書規模に基づいて、保存責任を可能な限り公平に割り当てようとします。とはいえ、図書館の蔵書構成(例えば、所蔵館が少ない希少なタイトルを多数持っているなど)により、使用される保存基準に関係なく、特定の図書館が常に平均以上のタイトルを保存することになる場合もあります。一部の図書館が特定の主題分野において、自館の強みであるということや、全体的に見れば不均衡になるほど多くのタイトルであってもその分野の資料は保存するという意思を示すこともあり、それによって他の参加館の保存冊数が抑えられることもあります。しかしプログラムは、特定の図書館に保存責任を過度に依存することの持続可能性について、慎重に考慮すべきです。

保存責任を地理的に分散させることはシェアードプリントプログラム間で共通の論点ですが、ほとんどのプログラムではそれを絶対必要と感じてはいません。ほとんどの地域プログラムは、強固なリソースシェアリングのインフラによって支えられています。しかし、北米に広がるHathiTrustシェアードプリントプログラムのフェーズ2では、米国国勢調査地域全体に保存責任を分散させました。気候変動への配慮が、こうした考え方を変える可能性があります。図書館が自らの二酸化炭素排出量を考慮するようになり、また、自然災害の影響を受けるリスクが高い地域に資料を保存することに伴うリスクも検討するようになっているためです。また、シェアードプリントプログラムにおいて特定のタイトルの「リスク」の高さに対する理解が深まるにつれ、貸出に十分耐えうる状態にある現物がプログラム内に少なくとも1冊は確実に存在するようにしたいという要望が、各プログラムで高まる可能性があります。これは保存責任の割り当ての戦略だけでなく、保存モデルにも影響します。

大規模な意思決定を行うにあたっては、わずかな違いが膨大な資料数に影響を及ぼす可能性があり、また図書館のデータは複雑であるため、個々の図書館は分析結果や保存の決定を注意深く、かつ何度も精査することが重要です。一般的にプログラムは、保存責任に正式に署名するよう求める前に、保存対象資料のリストを共有します。保存責任を割り当てるべきではなかったと思われる資料を後から見つけた場合の方針や手順を定めているプログラムもあります(MSCC Policy on Retention Commitment Changes, HathiTrust Reallocation of Commitments, EAST Reallocation Processを参照)。

保存期間

一般的にシェアードプリントプログラムでは、加盟館がプログラムを代表して保存に合意した資料について、最低保存期間が設定されます。ほとんどのプログラムは、15年または25年の保存期間が選択できるようになっています。保存期間は、各加盟館のニーズを満たし、コンテンツが保護される一方で、加盟館が資料を無期限に保存することまでは求めないことを長期的に保証するものでなければなりません。保存期間と保存責任が依然として適切であるかどうかを点検する機会は、ほとんどのシェアードプリントプログラムの覚書に組み込まれています。

コレクション分析ツール

プログラムが採用する保存基準や保存責任割り当ての能力は、利用可能なコレクション分析ツールの機能に影響を受けることにも注意する必要があります。OCLC GreenGlass、OCLC Choreo Insights、Colorado AllianceのGold Tushの機能の比較は、EASTのWebサイトでご覧いただけます。 コレクション分析ツールのページも参照してください。

最終更新:2025年9月


原文:https://toolkit.sharedprint.org/collections/retention-criteria