プロジェクトの範囲:何が対象で何が対象外か
範囲に関する決定は、Shared Print Partnershipのベストプラクティスにて詳説されていることから始めるとよいでしょう。特にシェアードプリントプログラムには、保存されるべき資料を優先順位の高い順に定義した、範囲に関する声明が必要です。以下、図書に関するシェアードプリントプログラムがその共有コレクションの範囲をどのように定義しているか、いくつかの例を示します。
例えば、冊子体の図書のみ/雑誌のみを対象とするのか、それともその両方とするのかといった範囲に関する一部の決定は、プロジェクトの開始時に行うのが最善です。この判断に影響を与える要因としては、プログラムの優先順位、参加館の帯域幅、コレクション分析ツールやサービスによる制限、図書や雑誌の所蔵データのユニークな特徴などがあります。Eastern Academic Scholars’ Trust(EAST)やMaine Shared Collections Cooperative(MSCC)のように、雑誌と図書の両方に焦点を当てたプログラムもありますが、一般的には特定の資料タイプに焦点を当てたプログラムが設立されています。
その他の範囲に関する意思決定は、例えば、対象外とする資料(教科書など)のカテゴリーに同意するなど、プログラムのコレクション全体を注意深く分析する作業の一環として、後で行うことができます。範囲は時間の経過とともに進化することもあります。例えば、最初のコレクション分析プロジェクトで分析するには新しすぎると判断されたタイトルが、後日分析されることもあります。また、特別コレクションの複本まで範囲を広げようとすることもあります。この文書は、何を対象とし、何を対象外とすべきかを主張するものではなく、むしろ図書館に、どのような状況がこれまで続いてきたか、そしてこれからどのように進化していく可能性があるかを示すものです。
現在までのところ、ほとんどの図書に関するシェアードプリントプログラムは、以下のようなものを対象と定義すると決定しています:
- 印刷体の図書のみを対象とします。学術図書館がタイトルの電子版を購入することは増えていますが、これらのタイトルは一般的に、自館での使用のみを目的として外部プロバイダーからライセンスされているため、他の図書館とアクセスを共有したり、他の図書館のアクセスを頼ったりすることはできません。
- 貸出できる印刷体の図書のみを対象とします。これらは既存のリソースシェアリングネットワークを通じて容易に共有できるため、他の参加館が頼ることのできるタイトルの現物と定義されます。
- 長期的な学術的価値があると考えられるタイトルを対象とします。これらは現在および将来の学術的ニーズを満たすために保持する必要があるという基準を満たすタイトルと定義されます。
- 対象は今後も変更が行われます。プログラムが定期的なコレクション分析プロジェクトを実施するにつれ、より多くのタイトルが保存対象となることを目標としているためです。
プログラムによっては、対象とみなされるものについて、以下のような追加基準があります:
- HathiTrust Shared Print Programは、HathiTrustのデジタルコレクションに追加された図書の冊子体について、保存責任を確保することに重点を置いてきました。
- Consortium of Academic and Research Libraries in Illinois(CARLI)のLast Copy Programは、イリノイ州の学術研究図書館コミュニティにおいて、図書の最後の1冊を保存することを目的としています。
一方以下のカテゴリーは、歴史的にいくつかのプログラムで除外されてきました(多くの場合、コレクション分析ベンダーの提案によります)。同時に、これらのカテゴリーの資料を積極的に追求してきたプログラムもあり、シェアードプリントプログラムのコレクション範囲は、以前は除外されていたものも含めるように、時とともに進化することもあります。
- 貸出対象外の資料。例えば、従来のシェアードプリントプログラムでは、特別コレクションに所蔵されているものについては図書館がいずれにせよ保持する可能性が高いため、シェアードプリントにおける保存責任の設定は不要と考えられてきました。さらに、特別コレクションの資料は、既存のリソースシェアリングネットワークでは利用できませんでした。しかし、図書館が売却候補を特定するために特別コレクションを再評価し、デジタル化やその他の手段によって特別コレクションの資料にアクセスできるようになるにつれて、こうした前提の両方が覆され始めています。
- 法学図書館、美術図書館、音楽図書館など専門図書館のコレクション。これらの図書館はメインキャンパスの図書館とは別に管理されていることが多く、所蔵資料はシェアードプリントプログラムの対象外となっていることが多いです(下記参照)。
- 政府文書。ほとんどの図書のシェアードプリントプログラムでは、政府文書は冊子体図書ではないとして、また、すでに地域のリポジトリによって保存されているという前提から、対象から除外しようとしています。しかし、HathiTrustは連邦政府文書のシェアードプリントプログラムについて調査中です。さらにEASTは、州政府、地方政府、国際政府、準政府の資料は明示的に対象外ではなく、他のプログラムの保護を受けられない可能性があるとの決定を下しました。従って、EASTの参加館はこれらの資料について、すでに実施されている保存責任を維持するよう要請されています。
- 図書以外の資料(地図、楽譜、学位論文、視聴覚資料、原稿、製本されたパンフレット、逐次刊行物、学術雑誌など)。これらは、EAST、MSCC、MI-SPIを含め、一般的には図書に関するシェアードプリントプログラムの対象外です。しかしSCELCは、貸出できる楽譜を保持することが重要であるとメンバーが考えたため、対象に含めています。
- 少年向けフィクションやノンフィクション。USMAIのように、これらをコレクション分析プロジェクトから明確に除外しているプログラムもあります。一方SCLECのように、貸出できる少年向け資料を対象にしているプログラムもあります。MSCCは、参加館に公共図書館を多く含むという点でユニークですが、少年向けタイトルを対象外としているわけではなく、作品がすぐに古くなり、ペーパーバックになる可能性が高い出版社を除外しようとしています。
- 大衆向けペーパーバック出版社の資料。少年向けタイトルのところで触れたように、MSCCは、作品がすぐに古くなり、物理的な状態が悪くなるリスクが高く、15年の保存期間には耐えられず、図書館が買換を躊躇してしまうようなペーパーバック出版社のリストを作成しました。
- 教科書、ガイド、参考図書。これらの中には歴史的価値のある資料もありますが、ほとんどの図書館は、すぐに取って代わられるようなタイトルを長期的に保存することを望みません。MSCCは、特定の出版社の教科書、ガイド、参考図書を保存の検討から外すため、出版社とキーワードのリストを作成しました。
- 出版日や受入日(そのタイトルが図書館の冊子体コレクションに追加された日付)が特定の日付範囲にあるタイトル。これは一般的に、少なくとも5年以上の所蔵歴と比較するための利用データがないタイトルについて保存の意思決定をすることをプログラムが快く思わないため、新しいタイトルについては保存の検討から除外するという決定を指しています。ConnectNY、MSCC、EAST、SCLECはすべて、出版日付によるボーダーラインを設定しています。
範囲に関する声明の例としては以下のようなものがあります:
- Eastern Academic Scholars’ Trust:範囲のほか、保存責任のレビューのヒントも参照のこと。
- Maine Shared Collections Cooperative
- Kieft/Revittによるシェアードプリントプログラム協定の一覧表には、様々なプログラムの範囲に関する要約が含まれています。
最終更新:2025年8月