よくある落とし穴

以下は、シェアードプリントプログラムが経験したよくある落とし穴のリストです。このリストは、この分野の多くの実務家と相談しながら作成したもので、これらの教訓が苦労を避けるための一助となるよう願っています。

MOU(基本合意書)が具体的すぎる

MOUに全メンバーの署名を得ることは、非常に複雑なプロセスです。そのため、理想としては、メンバーが新たな協定で再確認する必要がたびたび生じないようなMOUの文言にすべきです。より頻繁に更新でき、MOUを変更する必要のない、より運用的なレベルの方針や手続きについては、別の文書を作成することを検討しましょう。

コレクション分析における古いデータの使用

プログラムで以前のコレクション分析のデータを持っていたり、ベンダーが以前仕事をした図書館のデータを持っていたりすることがあります。新しいデータを入手するための作業や遅れを避けるために、このような古いデータを使用したくなりますが、長い目で見ると厄介なことになりがちです。最新の所蔵データがない、所蔵データが不正確、古いデータセットと新しいデータセットの統合が難しいなどの問題があります。

厳密な保存基準(特に多様な館種の図書館が含まれる場合)

プログラムによっては、多様な種類の図書館(例えば、州立図書館、公共図書館、大学図書館)が加盟しています。 異なる種類の図書館は、目標と、持っているデータの種類が大きく異なっているかもしれないことに注意してください。例えば、公共図書館は大学図書館よりも貸出率が高いことが多く、大学図書館よりも短期間ではありますが、より多くの複本を保持したいと考えるかもしれません。館種が多様なプログラムでは、「1つのサイズですべてに適合する」モデルを持とうとすべきではありません。

必要人員の過小評価

シェアードプリント活動は「一回で終わり」と考えがちですが、プログラムを維持するためには、プログラム・レベルでも個々の図書館レベルでも継続的な作業が必要です。プログラムが長期にわたって維持でき、すべてのレベルで適切な人員配置が行われるよう、管理者レベルで十分な賛同を得ましょう。

プロジェクトのスタッフにとっては、保存責任に同意することがプロジェクトの終わりのように感じられるかもしれませんが、図書館の仕事は、約束をしてからが本当の始まりであることに注意してください。この後、図書館内でシェアードプリントを運用する必要があります。この活動やその他の活動を支援するために、図書館が連絡を取ることができるシェアードプリントプログラムの担当者を置くことが役立ちます。

新スタッフの受け入れに失敗

シェアードプリントプログラムでは、どの図書館でも、どのレベルでも、スタッフの離職が起こります。シェアードプリントプログラムにおける図書館間の信頼の重要な要素は、保存責任が長期にわたって尊重されることです。加盟館の要員と連絡を取り合い、重要なポジションに新しいスタッフがいつ入るかを知ることが重要です。新しいスタッフの受け入れには時間がかかるかもしれませんが、プログラムの目標の継続性は保証されます。

対象範囲の方針が不明確で、必要な場合に保存を取り消すプロセスがない

保存の決定が規模に応じて行われる場合、図書館が保存に値しないと判断したタイトルを発見することは珍しいことではありません。明確な対象範囲についての文書と、対象範囲外である場合に図書館が保存を取り消すことができるプロセスを持ち、図書館がさもなければ除籍しただろうタイトルを保存するよう要求する際に、それらの方針を参照できることが重要です。

保存責任の準備が整っていない図書館と関わる

直感に反するように思われるかもしれませんが、共同コレクションからコンテンツが失われないようにするためには、冊子体のコレクションを最近見直しておらず、自館のコレクションの優先順位に合わなくなった資料を特定していない図書館は、その時点でシェアードプリントプログラムに適していないかもしれません。というのも、先々、彼らが保存責任を外したがるという問題が生じる可能性があるからです。

シェアードプリントの投資収益率のページも参照してください。

コレクション分析ツールに完璧を求める

資料の種類によっては(例えば多巻ものなど)、目録のとり方が異なる1ため、図書館間で比較することが困難なものもあります。新しい資料と同レベルの目録作成が行われていない可能性のある古い資料についても同様です。コレクション分析には常にいくつかの例外があり、完璧を良しとしないことが重要です。

雑誌コレクションの分析

雑誌のコレクション分析には、いくつか特別な配慮が必要です。所蔵巻号の記述は、図書館間での標準化や比較が困難な場合もありますが、その図書館の資料の継続的な所蔵状況を把握することは非常に重要となり得ます。たとえば、多くの図書館で所蔵されているタイトルに保存責任を割り当てる場合、そのタイトルを最も長く欠号なく所蔵している図書館に保存責任を割り当て、他館には欠号補完の機会を設けるのが望ましいといえます。逆に、全体のごく一部しか所蔵していない図書館に保存責任を割り当てると、他館がその館が完全巻をしていると誤解するおそれがあります。

継続記入や最新記入のような目録作成におけるルールの違いも、問題を引き起こす可能性があります。どのような目録規則が採用されているかを把握すること、または異なる規則の下で目録が作成された可能性のあるタイトルを特定するのに役立つツールを備えていることが重要な場合があります。なお、Center for Research Librariesはこの分野に深い専門知識を有しており、指針を提供できるでしょう。

コレクション分析のページも参照してください。

加盟館の1人の担当者または一つの部署とだけ連絡を取る

保存責任を引き受けることは、しばしば作業の終わりのように思われますが、シェアードプリントの保存責任に関するコミュニケーションは図書館全体に行き渡る必要があります。多くの部署がシェアードプリントの保存責任に関与し、影響を受けており、それを認識する必要があります。シェアードプリントプログラムは、加盟館が各館レベルでこのような認識を高めるのを支援し、保存責任が存続する限り加盟館と関わり続けるべきです。

雑誌の保存責任の記録

雑誌の保存責任の記録の仕方やシステムは様々ですが、所蔵データを含めておくことが重要です。所蔵は図書館によって大きく異なりますが、そのデータを持つことで、他館の除籍や欠号補充に役立ちます。プログラムはまた、必要に応じてこのデータを記録し更新する方法について明確なガイダンスを持つことを望むかもしれません。

精査なしに保存責任を受け入れる加盟館

多くは人員の制限により、図書館は提案されたすべての保存責任を、精査することなく受け入れてしまおうかと思うかもしれません。これは保存を決める時点では楽ですが、長期的には問題が生じる可能性があります。なぜなら、図書館は保存責任が割り当てられた資料が行方不明であるとか、自館の収集の範囲外であるとか、長期に保存責任を負うのは負担が大きすぎることに後々気づくからです。これは、その保存責任に加盟館が依存しているプログラムにとって問題となる可能性があります。

目録実務における重複保持

加盟館間で異なる方法でカタロギングされた資料の重複保存を避けることは、しばしば困難です。雑誌や多巻ものの図書は特に問題であり、復刻版、大きな変更のない版、大衆版ペーパーバックも同様です。

除籍に関するコミュニケーションの失敗

除籍に関する誤解は、争いの原因になることがあります。緩和策のヒントについては、「コレクションのライフサイクルにおける除籍コミュニケーション」(PDF | Google Sheet | 1 page diagram) を参照してください。

最終更新:2025年8月


原文:https://toolkit.sharedprint.org/participationgovernance/common-pitfalls

脚注

  1. (訳注:)雑誌資料を図書目録でとるか雑誌目録でとるかの違い、または過去と現在によっても目録の取り方が異なる場合などが想定されます。↩︎