名古屋大学附属図書館
オープンサイエンス・オープンアクセス支援

名古屋大学附属図書館では、論文や研究データの公開などを通し、オープンサイエンスの推進を支援しています。このサイトでは、オープンアクセスに関する知識や、研究データ公開のための情報を紹介します。

概要

オープンサイエンスとは

オープンサイエンスとは、社会に広く開かれた研究活動のことを指し、世界的に広まっている動きです。論文のインターネット無料公開(オープンアクセス)から始まり、研究成果だけでなく、研究の過程で収集したデータも論文と同様に、公開によって様々な分野に役立てることが期待されます。これにより、多くの研究者をはじめ、専門家でない一般の企業や市民もが研究データにアクセスでき、活用することができます。また、研究活動に市民が参加する例もあります。このような展開が、学術の発展に繋がると考えられます。

オープンサイエンスには研究活動の透明性を高め、社会に還元するという目的もあります。研究過程のデータや成果を誰もが閲覧できる状況にすることで、社会に対して研究を公開するものです。さらに、研究データを公開することにより、当該データがより長く、幅広く利活用される、学術論文の根拠データを示すことで研究の再現性が担保される、研究不正が抑えられる、といった効果も期待されています。

オープンアクセスとは

オープンアクセスとは、学術論文などをインターネット上で無料公開し、研究者だけでなく誰もが利用できるようにすることです。

今までは学術雑誌を大学図書館などで購読しており、多くの場合研究者しか閲覧できなかったこと、また購読料の高騰により図書館でも論文の入手が難しくなったことも、オープンアクセスが推進される理由の一部です。

論文をオープンアクセスにすることで、より多くの人に届けられるようになります。その結果、研究成果をより社会に還元でき、学術研究の発展に役立ちます。また研究者自身にとっても、論文が引用される可能性が高まるなど、メリットがあります。
助成機関によっては成果を発表する際にこのオープンアクセスを推奨しており、中には義務化している国もあります。

FAIR原則

研究データを公開・共有するにあたっての基準が FAIR 原則です。

「Findable(見つけられる)」、「Accessible(アクセスできる)」、「Interoperable(相互運用できる)」、「Reusable(再利用できる)」の略で、それぞれが更に細分化された項目を持ちます。データを公開する際にはこれらの項目を満たすことが求められます。

To be Findable:(見つけられるために)

  • F1. (メタ)データが、グローバルに一意で永続的な識別子(ID)を有すること。
  • F2. データがメタデータによって十分に記述されていること。
  • F3. (メタ)データが検索可能なリソースとして、登録もしくはインデックス化されていること。
  • F4. メタデータが、データの識別子(ID)を明記していること。

To be Accessible:(アクセスできるために)

  • A1. 標準化された通信プロトコルを使って、(メタ)データを識別子(ID)により入手できること。
    • A1.1 そのプロトコルは公開されており、無料で、実装に制限が無いこと。
    • A1.2 そのプロトコルは必要な場合は、認証や権限付与の方法を提供できること。
  • A2. データが利用不可能となったとしても、メタデータにはアクセスできること。

To be Interoperable:(相互運用できるために)

  • I1. (メタ)データの知識表現のため、形式が定まっていて、到達可能であり、共有されていて、広く適用可能な記述言語を使うこと。
  • I2. (メタ)データがFAIR原則に従う語彙を使っていること。
  • I3. (メタ)データは、他の(メタ)データへの特定可能な参照情報を含んでいること。

To be Re-usable:(再利用できるために)

  • R1. メタ(データ)が、正確な関連属性を豊富に持つこと。
    • R1.1 (メタ)データが、明確でアクセス可能なデータ利用ライセンスと共に公開されていること。
    • R1.2 (メタ)データが、その来歴と繋がっていること。
    • R1.3 (メタ)データが、分野ごとのコミュニティの標準を満たすこと。

FORCE11: THE FAIR DATA PRINCIPLES (2016).
https://www.force11.org/group/fairgroup/fairprinciples, NBDC研究チーム(訳)
"FAIR原則(「THE FAIR DATA PRINCIPLES」和訳)" (2019).
https://doi.org/10.18908/a.2019112601

研究データ公開支援体制

名古屋大学学術データポリシー

名古屋大学では令和2年10月20日に「名古屋大学学術データポリシー」を制定し、名古屋大学における学術データの管理ならびに公開および利活用の原則を定めました。

名古屋大学学術データポリシー: https://icts.nagoya-u.ac.jp/ja/datapolicy/

名古屋大学オープンアクセスポリシー

名古屋大学は,本学の教職員に対し,教職員が執筆する学術論文(共著含む)を可能な限り広く無償で公開することを求めるオープンアクセスポリシーを平成28年4月19日に制定しました。

名古屋大学オープンアクセスポリシー:https://www.nul.nagoya-u.ac.jp/oap/index.html

名古屋大学学術機関リポジトリでの研究データ公開について

名古屋大学学術機関リポジトリ「NAGOYA Repository」では、学術データポリシーに含まれる研究データの登録・公開も可能となっています。登録・公開について詳細はこちらをご確認ください。

チラシ:1分で分かる! 研究データリポジトリ登録(PDF)

  • 留意事項
    • サーバ容量の関係で、データサイズが大きいなどの場合は対応できないこともあります。
    • 研究データを公開するかどうかは研究者ご自身で判断していただく必要があります。
    • NAGOYA Repository 登録にあたっての一般的な注意事項をまとめておりますのでこちらもご覧ください。
  • 研究データ登録例
  • 名古屋大学での研究データの公開に関するお問い合わせ先
  • 2022年度学術データ管理支援イントロダクション動画(学内者限定公開)
    • NAGOYA Repositoryでの学術データ公開について、学内研究者のみなさまに広報することを目的としたショートガイダンスの動画です。どうぞご活用ください。
      本動画は、名古屋大学情報メディアスタジオの動画配信サービスを利用し、学内者限定公開としています。ログインを求められた場合は、名大IDとPWで認証して視聴してください(多要素認証も必要です)。
      名古屋大学の学術データ管理・公開支援のご紹介

各種分野リポジトリ・商業リポジトリでの公開について

研究データを公開する場所は、NAGOYA Repositoryだけではありません。研究データやそれに付随するプログラムなどを収集・保管・公開する「データリポジトリ」には以下のような種類があります。

  • 分野別リポジトリ:特定の分野のデータを対象に収録するリポジトリ

  • 汎用リポジトリ:分野を問わないリポジトリ

  • 機関リポジトリ:所属機関が運用するリポジトリ
    • NAGOYA Repository (登録・公開についてはこちら
    • 他大学等、国内の学術機関リポジトリはIRDBから検索できます。
      IRDB(学術機関リポジトリデータベース):https://irdb.nii.ac.jp/

データリポジトリの選択は、ご自身の研究内容やデータ公開の目的、研究助成期間の公開用件、投稿先のポリシー、などの各種要件に沿って検討し、使い分ける必要があります。

どのようなデータリポジトリがあるかは、以下のサイト等で検索することができます。

参考資料

オープンサイエンス・研究データ管理に関するオンライン教材等

政策動向

  • オープンサイエンス関連の基本ドキュメント
    • https://jpcoar.repo.nii.ac.jp/os-resource
    • JPCOAR作成(2021.7公開)。国内のオープンサイエンスに関する政策文書や関連組織のドキュメント等のうち、主要なものがまとまっている。随時更新が行われ、国内の先進事例や政策の動向などが一覧できる。

研究者向け

  • はじめての研究データ管理 : 研究室の日常から
    • http://hdl.handle.net/2324/4476054
    • 九州大学附属図書館作成 (2021.6公開)。国立大学図書館協会の「オープンサイエンスの推進に向けた先導的事業」(令和 2 年度)の予算措置を受け、研究データ管理・公開に関する研究者への啓発活動に用いる e ラーニング教材として製作されたもの。動画メインで、1本ずつが短く、身近な事例から研究データ管理の必要性を啓発しており、親しみやすい内容。
  • 研究者のための研究データマネジメント
    • https://jpcoar.repo.nii.ac.jp/records/294
    • JPCOAR研究データ作業部会作成(2020.10公開)。大学や研究機関等に所属する研究者の方に向けて作成された教材集。教材は、研究データ管理の場面に応じた12のテーマ別に分かれており、1) 研究者自身が本教材によって必要な知識を得るほか、2) 研究支援者が、各機関の研究環境やニーズに応じた形で本教材を加工し、研究データ管理サービスを提供することを想定している。
      学認LMS搭載あり→https://lms.nii.ac.jp/enrol/index.php?id=62(※要ログイン/詳細はこちら
  • オープンアクセスハンドブック. 第2版
    • http://hdl.handle.net/2261/72694
    • 東京大学附属図書館作成(2017.10公開)。研究者がそれぞれの研究スタイルや研究コミュニティに合った学術研究成果の公開手段を選べるよう、オープンアクセスの沿革と様々な種類のオープンアクセスの実現方法について説明している。また、今後検討が進んでいく、研究の過程で生成・収集されたデータの管理・保存・提供をも対象にしたオープンサイエンスについて、概要と動向を解説。

研究支援者向け

  • RDMトレーニングツール
    • https://jpcoar.repo.nii.ac.jp/records/34
    • JPCOAR研究データタスクフォース作成(2017.6公開)。主に大学や研究機関等の研究支援職員に向けて作成されたもので、1) 各学習者が研究データ管理に関する基礎的な知識を得ること、2) 各学習者が自機関における研究データ管理サービス構築の足掛かりを得ること、を目的としている。
  • オープンサイエンス時代の研究データ管理
    • https://www.nii.ac.jp/service/jmooc/rdm/
    • 国立情報学研究所作成(2017公開)。研究データ管理に関する基礎的な知識を得るためのもの。研究活動に伴い研究データがたどるプロセスとその管理のあり方について理解し、研究の再現性と透明性の向上に欠かせない、効果的な研究データ管理を行うための方法について学ぶことができる。概略を学んだ後、各学習者が、所属機関における研究データ管理サービス構築に向けた戦略立案を行うための足掛かりを得られるよう、構成されている。
      学認LMS搭載あり→https://lms.nii.ac.jp/enrol/index.php?id=51(※要ログイン/詳細はこちら
      ※改訂されていないため、内容に一部古いものが含まれる
  • 研究データのための図書館に必要な23のこと
    • Witt, M., 23 Things : Libraries for Research Data. Research Data Alliance’s Libraries for Research Data Interest Group, 2015.
    • https://rd-alliance.org/system/files/documents/23Things_Libraries_For_Data_Management.pdf
    • 2015.10初版公開。英国エディンバラ大学の教材など、研究データ管理を図書館業務に取り入れるために参考になる、実用的な無料のオンラインリソースやツールの概要が紹介されているガイドシート。
  • 研究データ管理支援人材に求められる標準スキル (ver.0.1)
    • https://doi.org/10.20736/0002000219
    • 国立情報学研究所作成(2021.9公開)。各機関において、研究データの管理・共有・公開を実践する上で研究者が直面する様々な課題や障壁を乗り越えていくための各種支援体制整備と、支援を担う人材育成を行う際に活用できるよう、研究データ管理に必要なスキルが研究段階ごとに列挙されている。
  • データ管理で研究者を引き付ける:クックブック
    • Clare, Connie et al. Engaging Researchers with Data Management: The Cookbook. Open Book Publishers, 2019, 153p., (Open Reports Series, 8).
    • https://www.openbookpublishers.com/product/1080
    • 研究データ管理に関し研究者と協力するために各地の研究機関が開発した様々な戦略を紹介するもの。世界中の機関から集められた24のケーススタディーを収録している。CC BY 4.0で無料公開。
  • 研究データマネジメントの探求
    • Andrew Cox; Eddy Verbaan. Exploring Research Data Management. Facet Publishing, 2018.
    • https://ebookcentral.proquest.com/lib/nagoyauniv/detail.action?docID=5419702
    • 図書館員やその他サポート専門家など、自分の機関で研究データサービスを展開したいと考えている人向けの入門書。名古屋大学構成員は電子書籍で利用可能。
  • データライブラリアンのためのハンドブック
    • Rice, Robin; Southall, John. The Data Librarian's Handbook. Facet Publishing, 2016.
    • https://doi.org/10.29085/9781783301836
    • データライブラリアンの実務について解説したテキスト。名古屋大学構成員は電子書籍で利用可能。

学生向け

  • Encourage Your Research Journey
    • https://alc.chiba-u.jp/eyr/resjrny.html
    • 千葉大学アカデミック・リンク・センター(ALC)と千葉大学附属図書館の協働作成(2021公開)。学部3・4年生~大学院生に対するRDM教育のスタートラインにすることをコンセプトとして開発された。内容は今後も充実されていく予定。学部生を主ターゲットにし、オンラインで授業課題を解いたり、レポートを書いたり、調べものを行ったりするための各種サポートを集約したポータル・サイトEncourage Your e-Learning(https://alc.chiba-u.jp/eyr/online.html)もある。

報告書

  • デジタルユニバーシティ化に向けた大規模データのアーカイブ・公開・メタデータ付与システムの実証実験報告書
    • https://www.nul.nagoya-u.ac.jp/oap/os/assets/gakunai/ISEE_report.pdf
    • 宇宙地球環境研究所が実施した、宇宙地球科学データのアーカイブ・公開・メタデータ付与システムの実証実験の報告書。今後の機構および本学における学術データの保存、活用に向けてのパイロット事業としての知見を得ることを目的としている。※学内のみアクセス可

ハゲタカジャーナルにご注意ください

ハゲタカジャーナルとは

オープンアクセス誌は、著者が支払うAPC(論文投稿料)をもとに査読や製作が行われ、掲載論文はWeb上で誰でも利用することができます。この出版モデルを悪用し、査読や編集を行わず、APCを不当に搾取するハゲタカジャーナル(ハゲタカ出版社)が存在することが明らかになってきました。

こうしたジャーナルに論文を投稿してしまうと、不当に高額な料金を請求されるおそれがあるほか、その論文を撤回できなかったり、自身や共著者、所属機関の評価・信頼が損なわれたりする可能性もあります。

ハゲタカジャーナルの見分け方

特定の雑誌や特定の特徴を持つ雑誌を「ハゲタカジャーナルである」と断定することは、非常に難しいことです。ハゲタカジャーナルの疑いがある雑誌のリストとしてはBeall's List of Potential Predatory Journals and Publishers(アメリカの大学図書館司書であったJeffrey Beall氏が作成したリストを有志が復活させたもの)がありますが、「ここに載っているからハゲタカジャーナルである」「ここに載っていないからハゲタカジャーナルではない」と直ちに判断することはできません。ハゲタカジャーナルは創刊や廃刊を繰り返すほか、ジャーナルの評価も変化することがあるためです。


投稿する雑誌を選択する際には、こうした危険な雑誌のリストも参照しつつ、その雑誌がハゲタカジャーナルらしき特徴を持っていないかを確認し、総合的に判断することが望ましいといえます。ハゲタカジャーナル情報を検索できるデータベースCabells Predatory Reportsは、疑わしい雑誌の選定基準(Cabells Predatory Reports Criteria)を公開しています。その他にもThink, Check, Submit熊本大学URA推進室のページ京都大学附属図書館による粗悪学術誌啓発リーフレット「粗悪学術誌に関わらないために」など、様々なチェックリストが各機関から提供されています。


ハゲタカジャーナルであることが疑われる雑誌の特徴(一例)

  • 査読のプロセスや料金が明確にされていない
  • 査読にかかる時間が理由なく異常に早い
  • 連絡先が明記されていない
  • 編集委員会のメンバーや所属先が公開されていない、あるいは虚偽がある
  • 著名なデータベースに採録されていないのに、採録されていると偽っている
    以下のデータベースは、そのデータベースで検索できる雑誌を一定の基準のもとに選定し、基準を満たした雑誌やその雑誌に掲載されている論文の情報のみを登録しています。
    • SCOPUS(Elsevier社の総合文献データベース)
    • Web of Science(Clarivate Analytics社の総合文献データベース)
    • DOAJ(基準を満たしたオープンアクセス学術誌を検索できるデータベース)
  • Webサイトの文法やスペルがおかしい
  • 同じ著者が何度も投稿していたり、編集者自らが投稿していたりする

よくある質問

研究データの登録申請書はどこにありますか?

ファイルサイズが大きくてメールで送れない場合は?

  • NUSSなどをご利用ください。

登録できるファイルサイズに制限はありますか?

  • 全体で150MBを超える場合は、事前にご相談ください。

公開にあたって注意することは?

  • 権利関係は事前にご確認ください。
  • その他、申請書の確認項目を参照してください。

その他のよくある質問について

お問い合わせ

お問い合わせ先

〒464-8601 名古屋市千種区不老町 B3-2(790)
名古屋大学附属図書館 学術機関リポジトリ担当
Tel:052-789-3686
E-mail: lib-os::t.mail.nagoya-u.ac.jp(::は@に置き換え)