学術論文等の即時オープンアクセス義務化について

2025年度新規公募分から、科研費等の公的資金の受給者は、研究成果としての学術論文及び根拠データを即時オープンアクセスにすることが義務付けられます。ここでは、関連する政策文書や対象となる研究成果、オープンアクセスの手段についてご案内します。

学術論文等の即時オープンアクセス義務化について

政策文書

日本国内では政府の方針や研究資金配分機関の計画においてオープンサイエンスの推進が明記され、即時オープンアクセスの実施方針が示されています。

代表的な文書として、以下が挙げられます。

対象

即時オープンアクセスの対象となるのは、公的資金(政府系助成金や科研費等)で実施された研究成果として発表された学術論文及びその根拠データです。

  • 査読付き学術論文:電子ジャーナルに掲載された査読済みの研究論文(著者最終稿を含む)
  • 根拠データ:掲載電子ジャーナルの執筆要領、出版規程等において、透明性や再現性確保の観点から必要とされ、公表が求められる研究データ

対象となる公的資金は以下のとおりです。

  • 日本学術振興会(JSPS):科学研究費助成事業
  • 科学技術振興機構(JST): 創発的研究支援事業,戦略的創造研究推進事業(一部を除く)
  • 日本医療研究開発機構(AMED):戦略的創造研究推進事業

オープンアクセスにする方法

研究成果を即時オープンアクセスにするには、おもに以下の方法があります。

  • ゴールドOA(OAジャーナルで公開)
  • OA論文を掲載している学術誌に投稿し、APC(論文掲載公開料)を支払ってオープンアクセスにする方法です。
    名古屋大学で受けられるAPC補助についてはAPC割引・支援情報をご覧ください。

  • グリーンOA(機関リポジトリ等で公開)
  • 出版社版または著者最終稿(ポストプリント)を、自機関のリポジトリや適切なオープンリポジトリに登録・公開する方法です。なお、国の方針では、所属機関の機関リポジトリへ学術論文及び根拠データを掲載することが原則となっています。
    名古屋大学ではNagoya Repositoryをご利用いただけます。登録は無料です。

    *出版社により、一定の公開不可期間(エンバーゴ)が設定されている場合があります。論文のリポジトリ登録条件は、図書館で確認し、条件に従って登録を行います。

留意事項

論文をオープンアクセスにする際には下記の点に注意する必要があります:

  1. プライバシーに関わる内容を含んでいないか。含む場合は被験者等の本人から許諾があるか
  2. 盗用・剽窃等、著作権法または研究倫理上で問題がないか
  3. 出版社・学会・共著者等から許諾があるか
  4. 著者・共著者以外の者が著作権を有する図表、写真、データ、資料を含んでいないか。含む場合はこれらの著作権者から許諾があるか
  5. 研究を遂行するために学内外の機関・個人と契約した場合、その契約によって研究成果の公開手段が制約されていないか
  6. 特許・実用新案等の出願に関わる場合、論文公開がこれらの権利取得に影響がないか
  7. 研究成果を後日に出版(複数の論文をまとめたものや改訂を含む)する予定である場合、出版社から許諾があるか

よくある質問

「即時」とはどの程度の期間ですか?

「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針の実施にあたっての具体的方策」(令和6年10月8日改正 関係府省申合せ)によると、「即時」とは、「学術論文及び根拠データの学術雑誌への掲載(電子版としての掲載)後、公開禁止期間(エンバーゴ)がないこと」とされています。ただし、手続きに要する期間を考慮し、概ね3か月程度で公開されることが望ましいとされています。

査読付き学術論文及び根拠データを掲載する学術雑誌の規程等で、学術雑誌への掲載後、即時に機関リポジトリ等の情報基盤への掲載が認められていない場合、どうすればよいのでしょうか。

「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針の実施にあたっての具体的方策」(令和6年10月8日改正 関係府省申合せ)によると、「研究成果の発表にあたっては即時オープンアクセスの実施に最大限努めることとする。その上で、受給者が即時オープンアクセスの実施が困難な場合には、関係府省及び資金配分機関が整備するシステムを通じて、各年度の実績報告の際に、当該学術論文及び根拠データの即時オープンアクセスの実施が困難な理由を報告する。なお、困難な理由が解消された場合は、速やかに機関リポジトリ等の情報基盤への掲載を行うものとする。」とされています。

出版社に著作権を譲渡している論文をリポジトリで公開することができるのですか? APC やOpen Access Fee は払っていないのですが

学術雑誌掲載論文は、投稿規程や著作権譲渡書(Copyright transfer agreement)により、著者が出版者(学会・商業出版社)に著作権を譲渡している場合があります。その際、多くの出版者が著者に対してリポジトリ登録を条件付きで認めています。出版後数か月~数年後以降に著者最終稿であればリポジトリに登録可、としている出版者が多いです。出版者により条件が異なりますので、登録条件が不明な場合は図書館にご相談ください。

即時オープンアクセス義務化において、研究室のホームページ等に論文を公開した場合、「オープンアクセス」になっているとみなせるのでしょうか。

「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」(令和6年2月16日統合イノベーション戦略推進会議決定)によると、「研究データ基盤システム(NII Research Data Cloud)上で学術論文及び根拠データが検索可能となるものとする」とされています。研究室のホームページ等、NII RDCと直接連携していない他のプラットフォームで公開した場合は、資金配分機関への実績報告書に識別子(DOIあるいはそのほかのPID(永続的識別子))を記載するならば認められます。

名古屋大学には、オープンアクセス誌の投稿料や論文オープンアクセス化費用(APC)の割引や補助などはありますか?

雑誌によって割引や補助があります。こちらをご参照ください。

著者最終稿とは何のことですか。

著者最終稿とは、査読後に出版者へ提出した最終原稿のことを指します。出版者はこの原稿を受理した後、レイアウトの変更やページの割り付け、ロゴの配置等の編集を行って出版(出版者の電子ジャーナルのサイトで掲載されている形式で)を行います。一般的に出版社のproofファイルはレイアウト済みと見なされ、リポジトリ登録に利用できません。なお、最終原稿がWordファイルや画像ファイルの場合は、図書館でPDFに変換して登録します。

根拠データの範囲を教えてください。

「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針の実施にあたっての具体的方策」(令和6年10月8日改正 関係府省申合せ)によると、「根拠データとは、『学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針』に示している『掲載電子ジャーナルの執筆要領、出版規程等において、透明性や再現性確保の観点から必要とされ、公表が求められる』掲載学術論文の根拠データをいう。Supplemental Data等の公表を前提としているデータであり、査読の過程等で求められるデータ等公表を前提としていないデータは含まない。」とされています。

お問い合わせ

〒464-8601 名古屋市千種区不老町
名古屋大学附属図書館 情報管理課 電子リソースグループ(オープンサイエンス担当)
E-mail: lib-os::t.mail.nagoya-u.ac.jp(::は@に置き換え)