蔵書点検

注:このベストプラクティスではGood、Better、Best、Aspirationalの分類を使用しています。

シェアードプリントの場合、資料の物理的な存在を確認することと同じくらい、資料を正確に記述する記録を所有することが重要です。これは、所蔵資料を継続的に利用できるようにするために重要です。シェアードプリントプログラムの蔵書点検は、加盟館が書架にある資料を確認することから始まり、保存に同意した資料の完全なリストを作成することが必要になります。

現在、以下のベスト プラクティスは単一の単行書を対象としています。 セットとして目録に掲載された単行書については、さらに考慮する必要があります。

加盟館が考慮すべきこと

蔵書点検のベストプラクティスは、シェアードプリント資料がアクセス可能で使用可能であることを長期的に保証することを目的としています。 シェアードプリント協定に応じて、さまざまなレベルの蔵書点検が必要になる場合があります。 以下は、シェアードプリントプログラムの加盟館が従うべきベストプラクティスのさまざまな段階 (Good, Better, Best, Aspirational) の説明です。これらは、物理的な資料の確認、検証、書誌情報とメタデータの照合、運営およびプログラム管理、報告を含む、特定の蔵書点検実務に関連しています。 すべてのシェアードプリントプログラムの全加盟館がこれらすべてを満たすことができるわけではありませんが、Better の段階が蔵書点検の一般的なベストプラクティスとみなされます。

この文書の最後には、さまざまな図書館の蔵書点検の手順の例、蔵書点検および関連用語の定義が記載されています。

現物資料の確認

加盟館は、蔵書点検対象の特定のタイトルに関連するシェアードプリントプログラムによって指定された識別子 (ほとんどの場合、OCLC レコード) を使用する必要があります。 蔵書点検は、特定のタイトルに割り当てられた請求番号および/またはバーコードを使用して現物資料が発見されることを前提としています。

蔵書点検を実施する図書館によっては、現物資料の確認が行われる他の機会が存在する場合もあります (資料が貸出から返却されたとき、リソースシェアリング処理中など)。

ベストプラクティスでは、シェアードプリントにおいて保存責任のあるタイトルが書庫に移転されるか、プロジェクトの一部として評価されるときに、以下のことが検証されるべきであると想定しています。

注:各レベルは、それ以前のすべてのレベルを満たしていることを前提とします。

Good

図書館は、シェアードプリントの保存責任を果たすため、現物資料のタイトルと著者が、ローカル書誌レコードと一致することを確認する必要がある。

Better

  • タイトルと著者がローカル書誌レコードと一致するかどうかを確認するのと同時に、図書館は書誌ユーティリティもチェックすべきである。
  • 図書館は、資料の状態が利用可能かどうかを判断すべきである。保存される現物はさまざまな用途をサポートするものであるため、シェアードプリントコレクションの資料は、貸出とデジタル化が可能な最低限許容できる物理的状態を満たすべきである。最低基準を満たしていない資料は、可能であれば交換または保存責任の再割り当ての優先度が高いものと見なすのがよい。
  • 図書館は、シェアードプリントの保存責任を果たすため、現物資料の版と日付がレコードと一致していることを確認する必要がある。

Best

図書館はシェアードプリントの保存責任を果たすため、出版者を確認するとともに、現物資料の巻号がレコードと一致しているかを判断する必要がある。

Aspirational

図書館は現物資料(表紙、背表紙、タイトルページ、タイトルページ裏)の写真文書を、デジタル資産管理システムにリンクするか、書誌データにリンクしてローカルに保存しておくべきである。

検証および書誌データの照合

次は、書架にある資料の物理的な位置に続いて、ローカ ルカタログでそのアイテムの検証および書誌/メタデータの照合を行うことである。

注:各レベルは、それ以前のすべてのレベルを満たしていることを前提とします。

Good

図書館は、ローカルの書誌レコードが正確で更新されていること、個々または全体のプログラムの保存責任が反映されていること、そしてMARC 583を使用して保存責任がローカルカタログに記録されていることを検証すべきである。(シェアードプリント対象資料に関する情報の開示を参照)

Better

Goodに記載されているように、タイトルと著者がローカルの書誌レコードと一致していることを確認するとともに、図書館は書誌ユーティリティも確認する必要がある。

図書館は、資料の所蔵状況と貸出状況がローカルシステムで正確であることを確認する必要がある。

Best

図書館は、デジタルサロゲートを識別するにはを参考にデジタルサロゲートを確認すること。

Aspirational

図書館は、書誌レコードへのリンクと写真レコードへのリンクを持つRFIDタグをメタデータに適用し、シリーズで発行された単行本をローカルで分析すべきである。

自館の管理とプログラムの管理

図書館がシェアードプリントプログラムの一部である場合、自館の蔵書点検のほか、プログラムの管理において必要なレベルの蔵書点検も確実に行う必要があります。

注:各レベルは、それ以前のすべてのレベルを満たしていることを前提とします。

Better

図書館は、たとえば新しいシステムを購入する場合や、蔵書点検を第三者が実施する場合などに、保存責任のある資料に関連する蔵書点検データを共有または移行できるよう、それらが図書館の管理下にあることを保証する必要がある。

Best

図書館は、継続的な蔵書点検でシェアードプリントプログラムを最新の状態に保つ必要がある。これらのチェックには、蔵書データのキャプチャとレポートを含める必要がある。これには、蔵書点検日、実施された検証のレベル、履歴参照用に取得された蔵書点検に関連するデータ (例: ローカルレポート内の、完全性を確認したことを記した583 アクションノート) の追跡が含まれる。書誌以外のデータは、個人レベルではなく組織レベルで保存する必要がある(例:共有クラウドドライブスペース)。

蔵書点検のベストプラクティスの活用例

蔵書点検ツール

コレクション分析ツールの活用」を参照

文献

Sherri Michaels & Becca Neel (2020) Conducting an Inventory with Shared Print in Mind, Collection Management

抄録:インディアナ大学の開架書庫コレクションの蔵書点検を行い、対応する書誌記述のエラー率を調べた。この蔵書点検は、外部書庫への移管のために資料を取り出す際に見つかったいくつかのエラーに対処するために始められたが、シェアードプリントプログラムへの参加が増えるにつれて重要性が増した。

蔵書点検の実践

University of Kansasの蔵書点検

抽出リストの作成

書架から抽出するタイトルのリストは、次の1つ以上の基準を使用して生成されます。

  • 利用が少ない、または全くない (「少ない」とは通常、プロジェクト開始前10年間の貸出回数が5回以下であること。テーマやオンラインの普及率によって異なる)。
  • プロジェクトより何年か前の出版日
  • その主題の専門家によって許可された特定の範囲/主題領域内の全タイトル

単行本タイトル

1冊のみの単行本として出版されたタイトルについては、タイトルごとに以下のデータを確認します。

  • タイトル
  • 著者
  • 出版情報 (出版地/出版者/出版年)
  • ページ数
  • 請求記号/背ラベル
  • バーコード
  • 所蔵巻号
  • 所蔵数
  • 貸出状況

多巻ものまたは複本があるタイトル

複数のパートで出版されたタイトル、または複数冊が所蔵されているタイトルについては、所蔵状況を検証および/または修正します。 単行本のタイトルについて記載されている関連データポイントも検証し、特に背表紙に重点を置いて、各パートが含まれる部分に従ってラベル付けされていることを確認します。 各ジャーナル タイトルの出版開始および出版終了 (判明している場合) は、リストの所蔵と照合します。ジャーナル間のタイトル変遷も追跡します。

複数のタイトルが1冊にまとめられている場合(独自製本)

物理的な1冊に複数のタイトルが含まれる場合、各タイトルの目録データへの正確なリンクを確保するため、追加のチェックが行われます。 必要な場合、その現物固有のあるいは通常でない製本状態を記述するために、所蔵データに標準化された文言が追加されます。

外部書庫への移管管理

University of Kansasでは、資料を高密度で空調管理された施設に移管する前に、蔵書点検を実施します。 移管されたタイトルがアクセス可能であることを保証し、閲覧可能なコレクションから引き出された全資料/バーコードのアーカイブを提供するために、移管中の各資料の配架場所だけでなく、移管日、外部書庫での処理日も長期保存されます。

ジョージア工科大学の蔵書点検

プロジェクトベースの例

2015 年、ジョージア工科大学図書館は、高密度保存書庫(http://libraryservicecenter.org/)に資料を移す前に、学内で開発された Web ベースのツールを使用して蔵書の調査を実施しました。 各タイトルについて、臨時職員のチームが、背表紙/タイトルページのタイトルと目録データのタイトル、背表紙の請求記号と目録データを比較しバーコードをスキャンして検証し、所蔵巻号/所蔵年次がある著作については、背表紙がその巻の最初の号の所蔵巻号/所蔵年次と一致していることを確認しました。プロセスの早い段階で、資料の幅と長さをサイズテンプレートに照らし合わせて測定しました。不一致が見つかった場合は資料を引き抜き、目録部門に送りました。

中央図書館の一般蔵書では、557,012件が再調査されました。

  • 不一致としてフラグが立てられた 0.4%
    • バーコード 1063件
    • 請求記号 369件
    • 当初、所在不明(NOS=Not On Shelf)とされていたが発見された 38件
    • タイトル 111件
    • 所蔵巻号/所蔵年次1 375件
    • その他 250件
  • システムでチェックされていない 23,788件 3.8%
  • 書架にないというフラグが立てられた 43,457件 6.9%

最後の2つのカテゴリは、2015年に目録に掲載されていたものの、以前に除籍されたり紛失したりした 67,000点の資料に対応しています。

その他の詳細:

  • Bluetoothスキャナー付きのiPadを20台使用し、40人の派遣社員チームがこのプロジェクトに取り組みました。書架の資料のチェックが行われ、特定された不一致を示すために、色分けされたフラグが引き抜かれた資料に挿入されました。
  • 新規コストは全体で約19万3,000ドルでした。
  • 15万8,000ドルの人件費(~1万7,000時間、時給9.25ドル)
  • 3万5,000ドルの機器費(iPad、カート、スキャナー、サイズテンプレート2
  • 特別コレクション、建築分館、政府文書には異なる検証プロセスがあり、この予算には含まれていません。既存の遠隔資料コレクションは、紙による同様の検証 (Wi-Fiが十分にカバーされていなかったため) を行って見直され、上記の予算に含まれていますが、アイテム数には含まれていません。

最終更新:2023年10月


原文:https://sharedprint.org/best-practices/inventory-for-shared-print-programs/ ※2026年4月現在リンク切れとなっています。

脚注

  1. (訳注:)原文では「enumeration/chronology」となっています。これはMARC21におけるフィールドです。参考:https://www.loc.gov/marc/holdings/hd863865.html↩︎

  2. (訳注:)参考:https://current.ndl.go.jp/ca1819 図1 >↩︎