地理的分散

注:このベストプラクティスではGood、Better、Best、Aspirationalの分類を使用しています。

はじめに

シェアードプリントコレクションが将来にも利用できるかどうかは、冊子体が適切に保存できるかどうかにかかっています。このためには、慎重に選択された状態の良い現物の保存を積極的に管理し、劣化とリスクの両方を最小限に抑える必要があります。冊子体の現物を紛失するリスクを最小限に抑えるため、各シェアードプリントプログラムの決定に従い、複数冊(つまり、複数の状態の良い現物。C&RLのA Model to Determine Optimal Numbers of Monograph Copies for Preservation in Shared Print Collectionsを参照)を保存し、それらを異なる場所に置いておく必要があります。これにより、時間が経過しても残り続ける可能性が高まります。現物の分散保存を検討する場合、シェアードプリントプログラムはそれらを地理的に分散させることを優先する必要があります。洪水、火災、ハリケーン、竜巻などの自然災害によって地理的に近い場所に保管されている現物、または同じ種類の自然災害が発生しやすい場所に保管されている複数の現物が、完全に失われてしまう可能性を軽減するためです。

注:この文書全体を通して、「保存施設」という用語は「本が保管されている建物」を意味するために広く使用しており、必ずしも本の保存という目的で設計された保存施設を意味するものではありません。開架書架も、地理的分散に貢献する保存施設として機能させることができます。保存施設の管理者とは、図書館長や保存施設を管理する人を意味します。

注:各レベルは、それ以前のすべてのレベルを満たしていることを前提とします。

Good

シェアードプリントプログラムは、加盟館の各保存施設の管理者に対し、次のことを強く推奨します。

  • 各敷地、建物、および建物内のエリアにおける、リスクの低い特徴と高い特徴の両方を収集するために、その機関独自の知識、保存施設の立地と建設の基準、および自然災害に関するFEMAナショナルリスク指数を確認すること。
  • 保存施設の新設あるいは改修を計画する際には、基準の推奨事項を考慮すること。
  • 最新の防災計画を立てること。
  • 保存される現物の保存場所について、長所と短所の説明を作成し、共有すること。
  • プログラムにおいて保存責任が割り当てられているコレクションを保管するために使用する、主要な保存施設の長所と短所に注意を払うこと。
  • 保存責任が割り当てられた資料は、可能であれば保存書庫に収容すること。

Better

シェアードプリントプログラムは、次のことを推奨します。

  • すべての加盟館に対し、すべての保存施設の説明を共有して、この情報をより大規模なコレクションや保存されている現物の配置に関する意思決定に役立てること。
  • 施設管理者に対し、リスクを低減するための代替戦略(予防的メンテナンス、水管理計画、特定のコレクションを建物の特定の部分/他の施設に移転することなど)を模索するために、意識を高め、可能な場合は行動を起こすこと。
  • 保存施設の新設あるいは改修を計画する際には、基準の推奨事項をできるだけ多く考慮すること。

Best

シェアードプリントプログラムは、次のことを推奨します。

  • 異なる地域にある異なる保存施設において、保存責任を確保すること。
  • 国内または国際的な所蔵数が目標とする最低限度を下回らないよう、他のプログラムと協力してポリシーやツールを作成すること。
  • 目標とする保存の最低限度を調整する場合の推奨事項に従うこと。特に地理的な場所のリスク指標を考慮すること。
  • (施設管理者に対して)コレクションの配置場所や保存される冊数に関するポリシーと手順を正式に文書化し、共有すること。
  • (施設管理者に対して)保存場所の長所と短所を文書化し、その文書をシェアードプリントプログラムと共有して(たとえば共有チェックリストとして)、シェアードプリントプログラムが計画と方針にその文書を使用できるようにすること。
  • 資料の保存場所に関する考慮事項を除籍の決定に組み込みやすくするため、ローカルシステムにおける現物の発見と開示に関するベストプラクティスのポリシーを策定すること。
  • コレクション分析の一環として地理的分散を考慮する(例えば、他のすべての現物が同一の自然災害による消失リスクが高い場所またはリスクの高い建物内にある場合は、除籍を推奨しないことがある。また、複数の現物が高リスクな場所に保管されていることが判明している場合は、保存する冊数を増やすよう推奨することもある)。

リソース

このセクションでは、シェアードプリントプログラムを含む、コレクションを保存したり利用したりする建物の土地と建設の基準を示します。これらの基準では、建物の場所、建設資材、および水・害虫・火災・その他の図書資料に対する脅威からの保護に関する考慮事項を説明しています。保存環境に関するベストプラクティスも参照してください。

また、自然災害に関するFEMAナショナルリスク指数を参照し、郡別およびハザード別にリスクを評価することも参考になります。(地図をクリックして郡を選択し、「レポート作成」をクリックすると、その郡の年間頻度データ(災害タイプ別の発生数/年の可能性)を示すチャートを含む、さまざまな自然災害のリスクレベルを詳述したレポートが表示されます。)洪水のリスクに関するデータは、別のサイトFEMA National Flood Hazard Layerにあります。

出版物等

Bogus, Ian, Candace Arai Yano, Shannon Zachary, Jacob Nadal, Mary Miller, Helen N. Levenson, Fern Brody, & Sara Amato. “A Model to Determine Optimal Numbers of Monograph Copies for Preservation in Shared Print Collections.” College & Research Libraries [Online], 84.5 (2023): 767. Web. 30 Apr. 2025. https://crl.acrl.org/index.php/crl/article/view/26029/33943

Conservation of Cultural Heritage – Specifications for Location, Construction and Modification of Buildings or Rooms Intended for the Storage or Use of Heritage Collections. European Standard CSN EN 16893-2018.

EM-DAT International Disaster Database https://www.emdat.be/

FEMA National Risk Index for Natural Hazards https://www.fema.gov/flood-maps/products-tools/national-risk-index

FEMA National Flood Hazard Layer https://www.fema.gov/flood-maps/national-flood-hazard-layer

Foundation for Advancement in Conservation (FAIC). Held in Trust. [received National Endowment for the Humanities funding in 2022 to construct an interactive climate risk map for cultural institutions].

Pacifico, Michele F., and Thomas P. Wilsted. Archival and Special Collections Facilities: Guidelines. Chicago: Society of American Archivists, 2009.

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最終更新:2025年7月


原文:https://sharedprint.org/best-practices/geographic-distribution/